クラッチトラブルからの…

お疲れ様です。整備の谷地中です。
今回はクラッチトラブルから、意外な方向へ発展してしまった修理事例です。
車両はイスズ エルフのNKS81型で他工場からの修理依頼です。依頼内容は、クラッチオーバーホールをしてから“エンジンチェックランプが消えない“ ”エンジンのかかりが悪い“ ”タコメーター(エンジン回転計)が動かない“ので修理して欲しいとの事です。

まず、チェックランプ点灯の理由を確認する為にスキャンツールを接続すると…

 P0336のコードが入力してます。

画像はエンジン停止状態ですが、エンジンを始動してもコードは消えません。整備マニュアルを確認すると、P0336のコードはクランクシャフトポジションセンサーの信号に異常がある時に入力されるとの事。ですので、基本点検の為にオシロスコープ※を使って、現車のクランクシャフトポジションセンサーの信号波形を観測してみました。すると、こんな信号が観測されました…

※オシロスコープって? 1000/1秒レベルで変化している信号波形を観測する為の計測機器

 判別し難いので…更に詳細な観測

 なんか変な信号波形…

 更に詳細な観測をすると…

クランクシャフトの1番を判定する為の欠歯部の他に、通常ではあるはずのない位置に欠歯部の波形が出ています。これが意味するのは、何らかの原因で異常な波形が出てしまい、エンジンコントロールユニットが異常判定をし、エンジンチェックランプを点灯させていると判断できます。

ここで、作業依頼をした工場さんに入庫時の状態から作業の詳細を確認すると、入庫時にはエンジンチェックランプは点灯していて、P0335(クランクシャフトポジションセンサー 断線又は短絡)の故障コードが入力していた事、クラッチオーバーホールをする為にギアボックスを外したら、何かのベアリングの欠片が出てきた事、その際にクランクシャフトポジションセンサーが外的要因で潰れていたのでクランクシャフトポジションセンサーを交換した事が確認出来ました。

この状態から、何らかのベアリングの欠片が悪さをしてしまった恐れがあるので、クランクシャフトポジションセンサーの相手側の歯車(フライホイール)をファイバースコープを使って点検すると…

 正常な歯車の歯…

 異常な歯車の歯…

明らかに歯車の歯が無くなっています。これによって、異常な信号がエンジンコントロールユニットに入力され、エンジンチェックランプを点灯させている判断。現車のギアボックスを外して歯車が付いているフライホイールを外してみました。

 外したフライホイール。

 歯が無くなっています。

この無くなっている歯が異常な信号を発生させていました。

更に外したフライホイールを点検すると…

 何かが接触した痕跡が…

この状況から、クラッチトラブルの際に発生した欠片が、歯車の歯を欠損させてしまい、異常信号を発生させ、エンジンチェックランプを点灯させていたと判断。フライホイールを交換すると正常な作動に復帰しました。

今回の作業、トラブル発生の最初から診ていれば遠回りしないで済んだかもしれないのですが、遠回りのお陰で基本点検の重要性を改めて認識させられた案件でした。

 

 

 

 

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