エルフのDPD、洗浄しました。

お疲れ様です。整備の谷地中です。
今回はいすゞエルフ(NLS85、総走行距離15万㎞)のDPDの洗浄について書きます。
前回、当社の類家が“DPR”の洗浄について投稿しましたが、DPRは日野さんの呼び方で、いすゞさんは“DPD”と呼びます。

と、ここまで“DPR”だ“DPD”だと書きましたが、“DPR、DPDってなによ!”と声が聞こえそうなので簡単に説明すると、現在のディーゼル車に必須の排気ガス処理装置です。現在のディーゼルエンジンに必須のこの装置、車両に使用環境によって不調を来す事が多く、一度不調が発生すると修理金額が高額になりがちです。

で、今回の車両はDPDが詰まってしまい警告灯が点灯。診断機を繋いで診断したところ、DPDの洗浄が必要になりました。

現車のDPDは車両の右後輪の前方に取付けられています。

 そこそこ大きな部品です。

 各種の部品が繋がってます。

で、これを現車から外して、分解します。 分解前…

 汚れはそれ程でもない…⁈

DPDが詰まってしまう原因は色々あるのですが、代表的な原因として①PM(パティキュレートマター※排気ガスに含まれる“煤”)の堆積、②アッシュ(エンジンオイルに含まれる灰成分)の堆積が挙げられるます。①のPMは車両に設けられている“強制燃焼”の機能を使うと、ある程度の除去は可能ですが、②のアッシュはDPDを分解し、洗浄をしないと除去できません。

現車のDPDを分解すると、PMの堆積はそれ程ではない(分解前に強制燃焼を行った為)ので、DPDの詰まりの主原因は“アッシュ”の堆積が疑われます。ですが、残っているPMを除去する為にも、DPDはアルカリ性洗浄液の“お風呂”に入れます。

 本物のバスタブに入れます。

PMが残っている影響で、お風呂に入れた瞬間に洗浄液が泡立ちます。ここから一晩漬け置き…

翌日、DPDをお風呂から上げて洗浄液の除去と、アッシュの除去に入ります。

 高圧洗浄機で洗浄中…

洗浄していると、DPDから徐々にアッシュが出てきます。

 画像の茶色い部位が堆積したアッシュ。

PMは酸性ですのでアルカリ性の洗浄液で除去出来ますが、アッシュはアルカリ性なので洗浄液での除去は出来ません。酸性の洗浄液を使えば良いのでしょうが、DPD本体への悪影響が大きいので高圧洗浄機と高圧エアを使って堆積したアッシュを押し出します。

次々と出て来るアッシュと格闘し1.5時間。ようやくアッシュが出なくなりました。DPD内部で凝固してしまって排出出来ないアッシュも残っていると思いますが、高圧洗浄と高圧エアで、ある程度除去出来たと判断し、車両への復元を行います。

 だいぶ汚れが落ちました。

 消耗品は全交換です。

 DPD組付完了。

組付完了したDPDを車両に取付け、センサーの初期化をし、洗浄したDPD内部の水分除去とECM内のデータ初期化を兼ねて、強制再生を実行。その後、圧力センサーのデータを確認。

 正常になりました。

この後、劣化したエンジンオイルを交換します。

近年のディーゼル車両、エンジンオイルの規格が2つ(DL-1とDH-2)ありまして、車両に適合している規格のオイルを使用しないと、オイル交換したのに、車両に適合していないエンジンオイルを使用してしまったが為に、早期にアッシュが堆積してしまい、警告灯の点灯、車両の不調等の不具合を引き起こしてしまいます。過去に修理させてもらった車両でも、車両に適合していないエンジンオイルを使用していた事が原因で、不調を来してしまった事例が多いです。

近年のディーゼル車両のユーザーの方、近年のディーゼル車両は昔のディーゼル車両と大きく違い、格段に進歩しています。ちょっとした不調、警告灯の点灯/点滅は車両がユーザーに助けを求めているサインです。何かいつもと違う場面に出会ったら、当社にご相談下さい。

 

 

 

 

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