エンジン始動不能
お疲れ様です。整備の谷地中です。今回はトヨタ クラウンアスリート(GRS182 3GRエンジン)の修理です。
入庫の経緯は、お客様がエンジンを始動しようとスタートスイッチを押したら、約1秒程セルモーターは回ったがエンジンは始動出来ず、その後スタートスイッチを押してもセルモーターが回らなくなってしまったとの事でレッカー入庫しました。
入庫時の現車の様子を確認すると…
①バッテリー単体の充電状態はバッテリーテスター上で約70%
②スマートキーは現車の物と認識して、照合もOK(スマートECU)
③燃料はほぼエンプティ(給油ランプは点灯していない)
④直近での作業履歴は、1カ月半程前にマフラーの排気漏れの修理をしている
⑤TCCS(エンジン/ミッションの統合コントローラー)とだけ通信出来ない

⑥イグニッションオンの状態でエンジンチェックランプとシフトポジションインジケータが点灯しない、水温計が表示されない、電動ファンが回りっぱなしになる

⑦朝一と夕方だけTCCSとの通信が復帰する。この時にエンジンチェックランプは点灯し、DTCの入力も無し。シフトポジションインジケータもシフトポジションを表示する。スタートスイッチを操作しないでいるとTCCSとの通信は続くが、1回でもスタートスイッチを操作するとTCCSとは通信出来なくなってしまう…と、こんな状態でした。
⑤と⑥の結果から、何らかの原因でTCCSと通信出来ない為にセルモーターを作動させる信号が出ていなくてセルモーターが作動出来ないのでは?と考え、サービスマニュアルに従ってTCCSの電源/アース、CAN通信、その他を点検しましたが、異常な箇所を発見出来ません。診断が行き詰まってしまい、ネット上で情報収集をしてみると、全く同じ症状を経験したメカニックさんの記事を発見!その内容は…
“高圧燃料圧力センサーの接続カプラーを外したら始動出来た” との内容でした。現車の症状から、自分の頭の中では繋がらないのですが、藁にもすがる思いで高圧燃料圧力センサーのカプラーを外してみると… エンジンがかかりました‼︎
この記事を書いてくれたメカニックさんには大感謝です‼︎
早速、右バンク(運転席側)のフューエルレールに付いている燃料圧力センサーを交換しようとしたらセンサー単体での部品供給はなく、フューエルレールASSYでの交換になります。



インジェクターを外したので、インジェクターのシール類はすべて交換します。このインジェクターのシール交換が少し面倒で、シールを伸ばしながら組み付けるのですが、伸ばし過ぎると元に戻らなくなってしまうので気を使います。

6気筒分のシール交換を行い、復元作業に入ります。

ついでに、診断の過程で異常があったフューエルポンプレジスターを交換。

この後、更に復元をしてエンジン始動。難解な症状はなくなり、入念な試運転をして作業完了しました。
今回の作業、現車の症状の根本原因は全く掴めていません。もし、この記事を読んでくれた方で、根本原因を知っている方がいらっしゃったら、コメントいただけると嬉しいです。
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