ABSの不調

お疲れ様です。整備の谷地中です。今回はワゴンR(MH23)のABSの修理です。

 現行の1つ前のモデルです。

ABSの警告灯が頻繁に点灯するようになったので修理して欲しいとのご依頼です。“頻繁に点灯”との事で、消灯する時もある様です。

早速、診断機を接続し点灯の原因を探ります。

 左後のセンサーの不良の様です。

試走を行い、ライブデータを確認すると…

 左後の信号が出ていません。

信号が出ていないので、センサー不良の恐れが非常に高いのですが、現車の総走行距離(10万㎞超過)を勘案。#(総走行距離が伸びた車両では稀にセンサーの不良コードが入力してもセンサーの不良ではなく、コントロールユニットの内部基盤不良でセンサーのコードが入力するケースがあります。)念の為、センサーの左右入れ替えテストを行い、故障コードが右に移動するのを確認して左後のセンサーの不良と判断。部品入荷を待ち交換作業をする予定だったのですが… 翌日、お客様から連絡が入りました。“ABSの警告灯の他にパーキングブレーキの警告灯も点灯したんだけど…”  申し訳ございません‼︎

直ぐにお車をお預かりし、真っ青になりながら診断を開始‼︎

 後右の故障コードが入力しています。

実測値は…

 後右の波形が異常です。

前の左右は最大で31㎞/h。これは間違い無い実測値なのですが、後右の最大値は255㎞/h!あり得ない実測値です。ワゴンRで255㎞/hなんて…

これは、センサーが暴走してしまっています。サービスマニュアルを読んでみると、センサーが異常なデータを発信した際にはABS警告灯と一緒にパーキングブレーキの警告灯も点灯させるロジックのようです。ただ、コントロールユニットの故障も考えられるので、例によってセンサーの左右入れ替えを行い、センサーの故障を確認。もう1つセンサーを注文し、後左右のセンサーを交換。

 新品のセンサー。後輪は左右共通です。

交換後の試走時の波形は…

 ほぼ波形は揃っています。

今回の案件、診断の際の左右入れ替えテストが後右のセンサーの故障を招いてしまった様です。しかしながら、間違い無い判断をする為に必要だった作業でもあります。修理を担当した自分としては複雑な心境ですが、何より、不具合が直ってよかったです。

後日談ですが、現車のABSセンサーは部品番号が“56310-82K10”から“56310-82K11”に変更になっていました。

 

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