ノッキングの原因は…

お疲れ様です。整備の谷地中です。今回は1994年式シボレーコルベットの修理です。入庫の理由は同業者様ご依頼の車検整備なのですが、ノッキングが酷いとの事なので自走での入庫は危険と判断し、積載車で当社へ搬送しました。始動時のクランキングタイムは長いですし、構内の試乗でも2速に入ると激しいノッキング音が発生しています。他にも社外ナビが再起動を繰り返したり、電動ファンが回るとメーターが明滅したりと、とても車検整備どころではない状態なので、先にノッキングの診断/修理をします。

 診断作業中…

現車、ノッキング以外にもナビの再起動やメーターの明滅の症状を確認出来ているので、電源系統の不具合が疑われます。早速、オルタネーターからバッテリー迄の電圧を点検します。

 点検中…

 オルタネーターは良好です。

ただ、バッテリーの端子電圧を点検すると13.7〜13.8Vと、約1Vの電圧降下をしています。たかだか1Vですが12Vが基本で動いている自動車にとっては大問題です。で、電圧降下の原因を探していきます。

 配線図を入手出来ました。ラッキー!さすがに全て英文の表記ですが…

配線図を見ると、オルタネーターで発電された電気はマキシヒューズプレートに入り、各部ヒューズに配電しながらバッテリーに入る構造です。

 このヒューズプレートです。

このヒューズプレートのヒューズは、燃料ポンプ、メーターを含めたインストルメントパネル電装、他のヒューズが取り付けられていました。外観の異常は見られないのですが、新車登録から30年近い車齢を考えると内部端子の接触不良が疑われるので車両から取り外して点検/清掃します。

 バッテリーを外さないと作業出来ません…

全てのヒューズとターミナルを外して点検しましたが決定的な異常箇所は見られません。ただ、ヒューズとターミナルには通電による“焼け”が見られたので清掃の上、接点復活剤を塗布して再組付。バッテリーを含めた周辺部品を復元してエンジン始動してみると… オルタネーター〜バッテリー間の電圧降下が0.1〜0.2Vに収まっている(配線抵抗があるので、少しの電圧降下は起こります)上、入庫時の長かったクランキングタイムが嘘の様に短くなっています。ナビの作動は正常になり、もしかして正常になった⁈と思い試運転に出てみると危険を感じる程のレベルだったノッキングが一切発生しなくなっていました。走行条件を変えて3日程試運転をしましたが、入庫時の症状は一切発生せず、症状完治と判断しました。

診断作業中に追加の作業依頼が入り、運転席ドアのキーシリンダーも修理して欲しいとの事で、そちらの作業も終えてから車検整備を行い、無事に車検終了。納車となりました。

今回の作業、つかみどころの無い症状の診断から始まって、完治出来るか非常に不安になった案件なのですが、無事に作業完了出来て良かったです。

 

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